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経済学のエッセンス

経済学のエッセンス――小室直樹

・そういえば小室直樹の本の中ではこれはまだ読んでなかったな、と思い読んでみた。2004年出版だから、小室さん晩年の本。もっとも元々は92年に出た『日本経済破局の論理』という本を加筆修正したものらしい。いまだにGNPを中心変数にして書いているのは、そのときの名残だと思うのでご愛敬。
 基本的にはケインズとそれを敷衍したサミュエルソンの経済学のエッセンスが書いてある。小室直樹はサミュエルソンから直に経済学を教わっているので、乗数効果の説明はお手の物。
 平成バブルが崩壊した理由についても、順を追って説明してあって勉強になります。個人的にはバブルのときのエクィティ・ファイナンスの話とかはさっぱりだったので助かる。バブルのときの状況は、こうして説明されてもにわかに信じられない。戦争を知らない子供たちという歌があったけど、好景気を知らない子供たちなのです。
 クルーグマンがかつてより指摘していた『流動性の罠』についても少し言及しているし(他の本ではもっとがっつり説明してた)、「いまの日本は1930年代の状況によく似ている! 有効需要を作るために公共投資をしまくれ! 国債とか気にするな!」という趣旨のことを言っているのは、いまの三橋貴明などが言っていることの先取りという感じ。2004年の段階でキッパリとこういうことを言っていたとは、さすが小室先生。でも、もし当時この本を読んでいたら、「なに言ってんだ?」と思っただろうなぁ、と。
 当時よりもいまの方が受け入れられやすいと思う。でも、いまだに「日本は借金が増えすぎて破綻する!」とか言っているオカルト本も出ていて売れているみたいだから、まだまだ世間には受け入れられないかも。
 他の小室本でもそうだけど、保守派が蛇蝎のごとく嫌うマルクスにも学問的には一定の評価を与えているのが面白い。森嶋通夫や大塚久雄に師事したことが大きいのかも。労働価値説は間違いでも、『疎外』の考え方とかは社会学的に大きな意義があるし、ケインズの合成の誤謬とかにも繋がってくるという評価。
 ペルシャ猫は経済財、野良猫は自由財、なんかの言い回しも実に小室直樹らしい。小室本は文章が分かりやすくって語り口が面白いのが特徴で、ついつい自分の書いている文章の中にも小室節が出てきてしまいそうになる。
 ただ、前々から思ってたんだけど本の中で出てくる難しい言葉に、カッコで注釈を入れているのは、小室さんが自分で行っているのだろうか?

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まことに、間然することなき(文句のつけられない)論理ではないか。
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↑みたいな風に。最初は編集者が親切に付けているのかと思ってたんだけども、どの小室本を見ても難しい単語や言い回しに注釈がついているから、小室さんが自分でやっているのだろうか。だったら最初っから簡単な言い回しにしておけばいいんじゃ……と思わないでもないけど、おかげで語彙が増えるので勉強になりますです。
 小室直樹は理系の南方熊楠である! と勝手に思っていて、熊楠とともに好きです。熊楠の方は学問的にはよく分からないけど、その人生とかキャラが面白すぎる。熊楠を主人公にしてテレビドラマを作ったら大人気になりそうなんだけども。
 小室直樹との共通点としては、「幼い頃から神童だった」・「長らく結婚しなかった」・「アメリカに留学した」・「酔っ払うと大変」・「熱烈な愛国者である」などなど。シモネタが大好きなのもそうかな。そのうち南方熊楠関係の本とかも紹介できたら。
 脱線。修正。この本は経済学のとっかかりを作る上でも、とても良い本だと思います。小室直樹に興味を持ったら、『日本人のための憲法原論』をおすすめ。小室学の集大成といった感じ。厚めの本だけど、編集者(集英社の島地勝彦さん)との対話形式で進めているから、非常に分かりやすい。
 2010年に小室直樹が亡くなったあとも本がいくつか復刊されていて嬉しいのだけれど、山本七平との共著『日本教の社会学』がいまだに復刊されていないのはどういうことだ!
 復刊ドットコムで復刊嘆願を受け付けているので、みんなの熱意を届けてくれ!!!!! 古本で数万で取引されてる状況は色々とおかしい。宮崎哲弥も絶賛しているぐらいの凄い本なんだから、もっと多くの人が手に取りやすいようであるべき。
 どうでもいいけど、Amazonで小室直樹の本を探していたら、『小室直樹の大予言』とかいうのがあって、「あれ? また小室本が復刊されたのかな?」と思い、作者名を見てみたら……ノーコメント。
書いてる人

藍上 陸(らんじょうりく)

藍上 陸(らんじょうりく)
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小説書いてます。

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