きのこ原理主義者が操を捨てるまで

捻挫したカタツムリのような速度で小説を書いています。
いやはや、慣れないジャンルだとプロットすらもうまく立てられないですね。
おおまかに構想を練ったあとはとりあえず書きだして、各部のディテールを濃くしながらなんとかテーマに追いすがっていって、いつか終わってくれることを祈るしかないというか。

さて、またもやアニメの記事です。
2019年8月から放送されている、「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」のアニメを毎週観ています。

監督は赤井俊文さん。
過去にショートフィルムの「Porter Robinson & Madeon - Shelter」の監督をされていますが、テレビシリーズの監督は今回が初だと思います。
錦織敦史監督の「THE iDOLM@STER」の特別編のコンテ演出や、高雄統子監督の「アイドルマスター シンデレラガールズ」の4話・11話・19話のコンテや演出や作画監督を務められたのが強く印象に残っています。
(デレマスのPR動画回・アスタリスク回・にわかロックの回、と言えばアニメを観ていた人ならすぐにわかるはず)

デレマスで赤井さんが作画監督をされた回は、キャラデザの松尾祐輔さんの絵と較べてキャラの顔が少し幅広でぷにっとしているのが特徴です。とくにみくにゃんの顔が

「アイドルマスター シンデレラガールズ」4話より。絵コンテ/演出/作画監督=赤井俊文
赤井みくにゃん
赤井みくにゃん2


「アイドルマスター シンデレラガールズ」7話より。絵コンテ=高雄統子/演出=原田孝宏/作画監督=嶋田和晃/総作画監督=松尾祐輔
松尾みくにゃん(たぶん総作監の松尾さんが原画に手を入れてる)
松尾みくにゃん


赤井さんの演出は、腕のいいアニメーターらしく要所要所でキャラクターの芝居を細かくして魅せるのがうまい。
堀口悠紀子さんから影響を受けたそうで、たしかに以前の絵柄にそれはうかがえたものの、原画の動かし方や演出の方向性は堀口&山田尚子コンビとはだいぶ違う、赤井さんならではのものです。
(ミリオンライブのことはよく知らないのですが、アニメ化するのなら赤井さんに手がけてもらいたいなぁ。錦織監督や高雄監督とはまた違ったテイストになるはず)

Fateについては、自分は月姫以来の奈須きのこ信者として2004年に初代の「Fate/stay night」が発売されるのをわくわくしながら待ち望んでいた人間なのでもちろん知っているのですが、スマホゲーの「Fate/Grand Order」はプレイしていないのです……なぜならスマホを持っていないから。
いまだに六年以上前に出たガラケーを使い続けているので、プレイできなくて歯がゆい限り……と言いたいのですが、FGOについてはちょっと複雑な想いを抱いています。

奈須信者をこじらせすぎて、「奈須さんが一人で書いたものじゃなきゃ認めないもん!」という気持ちがあるわけですよ。
奈須さんは「Fate/stay night」までは基本的に一人ですべてのシナリオを書かれていたわけですが、ファンディスクの「Fate/hollow ataraxia」からはほかのライターさんも参加されるようになりました。
まぁ、物量からいってノベルゲーを一人で執筆するほうが異常だったわけで、ほかのライターさんを入れるのは至極当然ではありますが、ファンとしてはちょっと微妙な気持ちで「Fate/hollow ataraxia」をプレイしたわけです。

そうしたら、普通におもしろかったわけです。
あれ? ほとんど違和感なく楽しめるぞ? と。

ここで「よかったー!」とはならないのが自分の面倒臭いところで、そうなるとますます奈須さん一人で執筆したものでなきゃ嫌だもんとなってしまったのです。
ほかのクリエーターによって奈須さんの領分が侵されているように感じてしまうというか……実際には奈須さんがディレクターとして深く関わっているので、アニメにおける監督のようなものだと思えばいいのでしょうが、僕のなかの奈須きのこは物書きと共同作業などせず、中二病をくすぐる設定と魅力的なキャラクターをこれでもかと押しだしていって奈須ワールドを構築し、熱を込めすぎて暴走寸前になったところを盟友の武内崇がバランスを取るのがいいのだ、というふうに(勝手に)思っていたのです。

きのこは孤高の作家なんですよっ! 菌糸類にほかの菌を混ぜたらいけません! 宿主である武内さん以外の声なんかに耳を傾けたらダメですからねっ! と、琥珀さんが叱るような口調で思うわけです。

なので、評判のいい虚淵玄さんの「Fate/Zero」も読んでいないし、アニメも観ていない。
「Phantom」や「鬼哭街」が大好きな虚淵ファンでもあるくせに。
こう、なんというか、好きなクリエーターだからこそ交わらないでそれぞれの作品を作っていてもらいたいというか。

なので、奈須さんが一人で書いている「魔法使いの夜」がついに出たときは欣喜雀躍して感涙しながらプレイしたのですが、FGOについてはどうしても手をだす気にはなれず……今回のバビロニアのアニメ化もパスしようかな、と思っていました。
むしろ、いまだに古いガラケーを使い続けているのは、うっかりFGOに手をださないように、という心のストッパーがどこかで働いているためかもしれません。
マシュって子のビジュアルがかわいくて気になるけど、面倒臭い奈須信者として――いや、きのこ原理主義者として固く操を守っていこう! と。

しかし、本放送に先立ってニコニコやAbemaで公開されたバビロニア0話が、あの高雄統子さんがコンテを描き、原田孝宏さんとアイマス以来のゴールデンコンビを組んで演出も手がけられていると知って、我慢できずに観てしまいました。

そしたらもう、クオリティが高いのなんのって。
番外編なため、さすがにストーリーの背景はよくわからなかったものの、ちっちゃいマシュめっちゃかわいいし、高雄さんの演出がとにかくキレキレで最高でした。
マシュのぼんやりした視線とか表情をうまく使って無垢さを演出したり、マシュがロマニと交流して心が色づいていくにつれて徐々に部屋に色つきの小物が増えていく演出とか、さすがの高雄演出でエモすぎます。ちっちゃいマシュめっちゃかわいいし。

赤井監督だし、副監督に黒木美幸さんがいるし(SideM最高でした)、キャラデザが高瀬智章さんだし、色彩設計が中島和子さんだし(動画工房の石黒けいさんと京アニの竹田明代さんと中島さんが僕にとっての色彩設計三大神)、アクションディレクターや作画監督に河野恵美さんや林勇雄さんや岡勇一さんといった神アニメーターが揃ってるし、CloverWorksだからそのうち石井俊匡さんが演出登板しそうだしで、どいつもこいつも強ェやつらばっかでオラわくわくすっぞ! という面子だったので、きのこ原理主義者の操をあっさり捨ててアニメシリーズを観ることにしました。

幸い、FGOの序盤にあたるシナリオが「Fate/Grand Order -First Order-」として難波日登監督によってアニメ化されています。
それでひとまず世界観がどんなものかを知ることができましたので、安心してバビロニアを観ることができました。
もちろん原作をプレイしてから観たほうが設定や背景は理解できるのでしょうが、いまのところこんな自分でもストーリーは追えていると思います。

こりゃそのうちガラケーからスマホに乗り換えるかもしれませんね。

次回、バビロニア10話の石井俊匡さんの演出を取り上げます。
書いてる人

藍上 陸(Ranjo Riku)

藍上 陸(Ranjo Riku)
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1985年生まれ。最近ちょっと病気で体調ががががが。

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