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アキハバラ∧デンパトウ・第6回解説

アキハバラ∧デンパトウ (GA文庫)
藍上 陸
れい亜 (イラスト)
SBクリエイティブ


第5回の解説はこちら。


――――――――――――――――――――――――――――――
  ペンネの過去
 秋葉原の歩道で、ヌグと企業戦士が向かい合って構えている。
「はぁぁあああ~~~~! カメハメハ大王的な必殺技ァ! です!」
「ぬぐぉぉお……波動を飛ばす拳ンンン!」
 互いに両腕をつきだしたポーズで、見えないオーラ的なものを飛ばし合っている。
 二人がどんな口論の果てにそんなことをおっぱじめたのか、チロにはわからないし、わかりたくもない。アニメとゲームという近似項のためか、ライバル意識のようなものがあるのかもしれない。ともあれ衆人環視の的である。チロは他人のふりをするだけである。
――――――――――――――――――――――――――――――

今回はペンネの過去の一部があかされる回ですが、最初はヌグと企業戦士のシーンからはじまります。
企業戦士はフリーダムなキャラなので、激しいツッコミのできるせやねんと合わせることが多いのですが、ヌグとも相性が合います。
どちらもオタクなので、波長が合うところがあるのでしょう。このあとの話数でも、この二人の組み合わせはでてきます。

上記引用文では、なぜかカメハメ波と波動拳を撃ち合ってますが、なんでそんなことをしてるのかだれにもわかりません。
自分も書きながら「なんでこんなことしてんだ?」と思っていました。
わからないからこそおもしろいと感じるシーンかなと。

この作品では意識的に、こういう「説明しないで投げっぱなし」のシーンを入れるようにしています。
この回の後半にある「腹話術」のくだりもそうですが、これができるようになってから、ちょっと小説が書きやすくなりました。


――――――――――――――――――――――――――――――
 ずっと後ろでは、いまだにヌグと企業戦士が獅子舞のように荒ぶりながら、非現実的なバトルをくり広げている。
 しかしそれよりもずっと突飛な事実が、せやねんの口から語られた。
「ペンちょんはな……この世界とはべつのとこからやってきてん。」
「え?」
「マンガを描いとるのも、元の世界へ帰るためなんや。」
             ∽∵∧―∧
「あ、おかえりー。」
 エレベーターがひらくと、通路からペンネがにこやかに話しかけてきた。
 カピバラの背中にまたがって。
「た……だいま?」
 チロはエレベーターから一歩踏みだした状態で固まった。
――――――――――――――――――――――――――――――

一行目の「獅子舞のように荒ぶりながら」という比喩は、バカバカしくて気に入っています。
こういう、さらっとした比喩と、これまでたびたびでてきた海産物系の比喩のような、あえて力み返った比喩の二つを使い分けていきたいものです。

また、ここではステープリング・テクニクスに近い手法を使っています。
せやねんの「マンガを描いとるのも、元の世界へ帰るためなんや。」という台詞を入れたあと、空白行を挟んで、ペンネの「あ、おかえりー。」という台詞を入れています。
これにより、「帰る」という単語を強調し、場面転換をしてもぶつ切りの雰囲気にならないようにしています。
こういう台詞を一部ダブらせる方法は、「アキカン!」などでも使っていますし、ほかの作家さんも使っていると思います。これをふくらませていくと、ステープリング・テクニクスになるわけです。


――――――――――――――――――――――――――――――
 さきほど、帰ってくる途中にせやねんからきかされた話を思いだす。
『ペンちょんがこの電波塔にやってきたんは、いまから二年近く前の初夏やった。』
『やってきたっちゅうより、出現した、ちゅうたほうがええかもしれん。なにしろ、嵐の晩に電波塔のずっと上のほうに倒れてるのを発見されたんや。』
『そ、上や。アンテナの鉄骨で気ぃなくしとったんや。ちょうどでっかい雷がアンテナに落ちたあとでな、メンテの人らが修理のためにのぼっていって発見したんや。』
――――――――――――――――――――――――――――――

ペンネの過去が、せやねんによって語られる場面です。
ここでは、『 』の連続によって、一方的にせやねんによって語られていきます。
聞き手のチロの相槌などは省かれています。
これはページ数の節約のためで、いちいち会話にしてたら回想シーンが長くなってしかたないので。
また、小池一夫氏の、「受け台詞は使うな」という意見にも賛成です。

こういうふうに、あえてチロの台詞を書かないで進めていくと、せやねんの台詞が奇妙に浮きあがってきます。
ちょうど、電話している人を第三者が眺めている感じでしょうか。第三者にとって、電話している人の声がやけに耳障りに感じられるのは、会話として成立していないからだそうです。電話相手の声が第三者にはきこえず、一人だけの声が響くので、それが特異な感じにきこえます。

説明といえば、せやねんの話を地の文に要約して書くという方法もありますが(間接話法)、それだと本当に説明的になってしまい、読者の印象に残りづらくなります。
なので直接話法にしたのですが、会話をそのまま書くとページ数を食いますし、説明が散漫になってしまうおそれもありますので、このように一人ぶんの台詞を書いた次第です。
また、その回想の台詞とともに、現在の時間軸のペンネの様子もクロスカッティングのように交互に描き、説明に飽きがこないようにしています。


――――――――――――――――――――――――――――――
「チロくん?」
 ペンネが小首をかしげて、きょとんと目を丸くしてこちらを見ていた。
「どしたの? 心配ごと?」
「あ、いや……」
(ペンネちゃんは、いい子だ)
(とても、いい子だ)
(でも)
「電波、だよね……」
 思わず、口から本音がもれてしまった。
「でんぱ?」
 ペンネが青いオウムになってくり返した。
「あ、いや、」
 チロはあわてて弁解の言葉を探したが、
「知ってるよ! ボク、でんぱのこと!」
「へ?」
「この塔のてっぺんからでてたのだよね! みんなからきいたきいた! でんぱになれば、ずっと遠くまでいけるんでしょ? 馬よりもずっと遠くに!」
 通路の窓からの陽射しを浴びながら、ペンネがほほえんだ。
 十代の少女らしい、曇りのない闊達な笑顔。
 しかし、望遠鏡を逆さにして見たように、なぜかしらその姿は小さく、遠くに感じられた。
――――――――――――――――――――――――――――――

本作のタイトルにもある「電波」が、たんなる電波塔の「電波」だけでなく、畸人変人を意味する「電波」であることを示すシーンです。
企画当初から、「電波塔」にからめた「電波な人たち」を大勢だそうと思っていたのですが、作中でそのことを示すのに意外と苦労しました。
だれか作中で都合よく説明してくれるキャラがいて、「この電波塔には電波な連中ばかりが集まってるんだ!」といってくれたら楽なのですが……やはり最初は主人公の口からいわせたほうがいいと判断しました。
電波なキャラは、自分たちが電波なことに気づいていないから電波なわけで。

いわば、タイトルの「デンパトウ」は「電波党」でもあるわけです。

「ペンネが青いオウムになってくり返した。」というのは、いわば隠喩ですが、これによってペンネの髪の色が青であることをほのめかしています。
第2回の解説でも書きましたが、ストレートに「青い髪」とは書かない方針ですので、こうやって比喩にまぎれこませて青をアピールしています。


――――――――――――――――――――――――――――――
『頼んだで。ペンちょんの目をさまさせて、この世界でまっとうに生きるようにしたってや。立場的には浪人生のチロも似たようなもんやろ。現実を見ろ、ってな。』
(……すみません、せやねんさん。俺には無理です)
(ペンネちゃんに現実を教えるなんて、荷が重すぎます)
(だって……)
「ボク、でんぱになりたいな!」
 ペンネの笑顔を遠くに感じながら、チロは強く思った。
「だって……」

  怖い叔父さん
「だって……ああん? 『こんなにも無邪気な子の笑顔を、壊すことなんてできないじゃないですか』だってよ。ハッ、なんじゃこりゃ!」
 日記を読んだヤクザの叔父が、荒っぽく机の上に足を投げだした。
 その前にすわったチロは、びくびくしながら「ははは……すみません」とあいまいに笑うしかできなかった。
 叔父が若頭をつとめる、広域指定暴力団の東京事務所である。
――――――――――――――――――――――――――――――

ここで急に、ヤクザの事務所に場面が移ります。時間軸も変わり、いったんさきのほうへ飛んでおります。
まだストーリーは半ばですが、最後の展開に向けてのしこみをここでやっています。
チロの「だって……」という台詞のあと、空白行を置いて、叔父がその台詞のつづきを引きとっています。
それより、急激な場面転換でも、情感の断絶が起きないようにしています。


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 気のせいか、タバコをぬきだす指の数が少ない気がする。よくわからない。チロの意識が理解を拒絶している。結果、叔父の左手に、薄くモザイクがかけられることになった。
「おう、火ぃどした!?」
 応接室の空気にあかぎれが走った。
(ひゃおう!?)
 チロの心臓が止まった。確実に止まった。叫びすらあげられない。
 そのままおだぶつするかに思われたが、ドアのところに立っていたジャージ姿の行儀見習いらしき青年が、「すんません!」とあわててライターをもってやってきたので、叔父の怒りが自分に向けられていたのではないことを知り、かろうじて心臓が動きだした。
「テメコラ、気ぃぬいてんじゃねえぞ!? アアッ!?」
 青年の坊主頭を、ようしゃなく叔父がはたく。その手にはやはりモザイクがかかっている。指の数が気になって気になってしかたない。
 応接室にはほかにも何人か強面の男たちがいたが、どれも直立不動で、緊張したように遠くを見つめている。いたずらをして廊下に立たされる小学生たちに見せたいぐらいだ。
――――――――――――――――――――――――――――――

怖い怖いヤクザの叔父とのシーンですが、ただ怖いだけだとコメディにならないので、コミカルに見えるような描写をしています。
「叔父の左手に、薄くモザイクがかけられることになった。」というのは、アニメなどを意識した表現ですね。また、もろに「小指がない」などと書いてしまうと、出版社によってはNGがでることがあります。
行儀見習いのシーンは、北野武監督の映画などでおなじみです。「アウトレイジ」の序盤のシーンで、ジャージ姿の青年たちが「失礼しますっ!」とかいいながらヤクザたちの接待してましたね。
あれ、一日限定でいいのなら私もやってみたいのですが……一日でもやったら、足抜けできなさそう。


――――――――――――――――――――――――――――――
「ほうほう。ではでは、せーちしきに不案内なお二人のために、このせやねんお姉様がいろいろと教えてさしあげますわ。…………あっ、おいチロ!」
「はい?」
「いま一瞬、『これって俺を使った実演!?』って期待したやろ? エロゲ的な展開を!」
「しししししてませんし! なにいってんですか! ってかエロゲなんてしたことありませんし! 俺そんなの興味ないですし!」
「あ、ヌグぽんと同じ『し!』や。お前も動揺するとそうなるんか? ヌグぽんはどや?」
「し、知らないですし! ヌグは美しい林檎印のパソコンしか使わないので、窓製マシンでしかプレイできないゲームのことなんてぜんぜんですし!」
「いや、エロゲのことはきいとらんが。」
 そのとき、ペンネがなにかを思いだしたように、
「そーいえば。」笑顔でポンと手を叩き、「ボク、腹話術できるかもしれないんだよ!」
 背景にパパパッとひまわりが咲いた。
「ごっつ急やん。ものごっっつ急やん!」
――――――――――――――――――――――――――――――

チロ・ペンネ・ヌグ・せやねんの四人が、引っ越し作業をしながらしゃべっているシーン。
ここら辺、じつはかなりなりゆきまかせで書いていて、あえてさきの展開を考えておりませんでした。
コメディでプロットを堅めすぎると、やりとりが画一化してしまって、どうしても同じパターンがくり返されてしまいがちです。
頭の真ん中だけでなく、側面や裏側も使って書いていきないとおもしろくなりません。
上記引用文で、ヌグやチロが動揺すると「し!」といいだしたりするところなどは、初期設定にはありませんでした。

この場面で一番のアドリブは、ペンネが急に腹話術ができるといいだすところでしょうか。
いま思い返しても、なんでこんなこと急にいいだしたかわかりません。
このあと、すっかり腹話術のことはスルーされて、べつの話がはじまってしまいます。
ちょっとぽかんとしてしまう流れですが、でも偶然これが書けたことで、この作品に手応えを感じられるようになりました。
こんなことやってもいいんだな、というのが自分でもわかってというか。


――――――――――――――――――――――――――――――
「あ、あれが『でんぱ』なんだ。すごいね、でんぱ、でんぱ。ボクもでんぱになれれば、あーいうことができるようになるのかな? 変身しておっきくなって怪物と戦うの。」
「……たぶん、特撮のことをいうとるんやろうな。」
「まちがってスプーンを掲げたりしてね……あれ? なんの話だっけ?」
「これからヌグの部屋で一緒に『チ○ージマン研』を見る約束の話です。」
 しれっとヌグが都合のいいように改変した。
「あ、そだっけ。」
「騙されるのかよ!」
「卑怯やぞヌグぽん! アニメでペンちょんを洗脳しようとしてえ! ウチが日頃からおこなっとる『B級昭和研究』の成果をいまこそ開陳するときや!」
「B級昭和研究? あー、だからせやねんさんの部屋って、あんな古くさくてべたべたした感じのポスターがいっぱい貼ってあるんですね……」
「なんやべたべたて!」
「いや、なんか田舎の食堂に貼ってありそうなものばっかじゃないですか。なんか油でギトギトになってそうな。」
「う、それはなかなかいいえて妙やな……なかなか見る目あるやんけ。」
「いや、納得されてしまっても……」
「そんなチロやペンちょんたちにぜひ見てほしい昭和の映画ランキングゥ! ぱんぱかぱーん! その栄えある第一位は、一九八二年公開の、『幻○湖』や! 黒澤映画にたずさわってきた脚本家が監督してるんや。東宝創立五十周年記念作品やぞ!」
「は、はぁ?」
「うぅ……幻○湖!」
 ヌグが叫んだ。
「あまりにも難解でカルトな内容ゆえに、公開後わずか二週間ちょっとで打ち切りになったという伝説の……!」
「し、知っているのかヌグちゃん!」
「なんかえんえん走ってるランニング映画だってききました!」
「ボクも走りたいなー。」
「甘い、甘いでヌグぽん。この映画はそんなもんやないんやて。最後はな……ああ、いいたい! 最後すごいことになるのをここでネタバレしたい!」
「そのすごさは伝えきいてるです。噂では、一部のアニメ関係者のあいだで鑑賞会がひらかれ、とあるアニメ監督がこれを見て、『俺の演出はまだまだだ』とうなったという……まさか『チ○ージマン研』を越えるとでもいうのですか!」
――――――――――――――――――――――――――――――

みんなでサブカル的な(?)ことを話し合うシーンです。
この作品の舞台が秋葉原で、しかも電波な人たちが集まっているので、こういう話題を書きたいと思っていました。
小説のなかに評論的な要素を入れられたらいいな、と前から思っているのですが、実際のところはなかなか難しいです。
このブログでしているように、画像引用をおこないながら解説ができればおもしろそうなのですが。
画像引用は、正当な範囲のものであれば著作権法で認められているのですが、どこからどこまでがOKなのかが難しいのでしょうね。(脱ゴーマニズム宣言事件のような判例があるので、わりとやってもだいじょうぶそうではあるのですが)
個人ブログであれば自分の責任でできるのですが、出版社的にはいろいろと困るところがありそうです。

上記引用文で、「まちがってスプーンを掲げたり」というのは、有名な 『ウルトラマン』の第34話からです。(演出は実相寺昭雄)

ヌグのいう『チ○ージマン研』は、連載の都合上、伏せ字にしてありますが、「チャージマン研」のことです。
カルトアニメの金字塔ですね。
昔、ある作家さんに薦められて知りました。その作家さんもべつの作家さんに薦められたそうな。感染力ありすぎです。
個人的に好きな回は、第56話の「暴走!馬上の研」でしょうか。冒頭の、研たちが乗ったクルマがやってくるところのデタラメなパースが最高すぎます。

『幻○湖』」というのは「幻の湖」のことです。
パッケージの写真だけでご飯何杯でも食べられますよこれ。どういうシーンなのかさっぱりわからないでしょう。

ヌグのいう、「一部のアニメ関係者のあいだで鑑賞会がひらかれ、とあるアニメ監督がこれを見て、『俺の演出はまだまだだ』とうなった」というのは、実際に自分がきいた話です。
とあるアニメのプロデューサーがこれが大好きで、カラオケとかで鑑賞会をひらいていたらしいです。そのときに唸ったアニメ監督の名前もきいているのですが、名前は差し控えます。

幻の湖は、ときおり見返したくなる不思議な中毒性があります。決して他人におすすめはしませんが、私は好きです。
作品のタイプはちがいますが、カルト度合いにおいては「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」と双璧をなすのではないでしょうか。


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それどころか、ペンネのいいだした『腹話術』のくだりがすっかり流されてしまった。
 これからさき、彼女の腹話術が本当に見られるかどうか、だれにもわからない。
             ∽∵∧―∧ 
「……ん?」
 せやねんの部屋で映画鑑賞中、チロはふと気になって首をふり向けた。
「どしたん?」
「いや……なんていうか、いま一瞬、人のようなものが視界に入った気がして……」
「テレビの人がきたのかな?」
 ペンネが液晶画面を指さす。
「いや、テレビから人はでてこないから。」
 冷静に手をふって否定し、
「なんなんだろう……たまに、視界の端っこに、なんか人みたいなものが映るんだよ。でもすぐにそっち見ても、なんにもなくって……」
「なんですそれ。飛蚊症の呪われしバージョンですか。」
 カーペットの上で、大きな赤い靴下型の寝袋に入っているヌグが、不気味そうにいった。
「電波塔のなかでもあるし、外でもたまにあるんだよな。気のせいなのかな……人っていうか人間的な記号? みたいな形をしてるんだけど。」
「ん? ひょっとして、あれちゃうか?」
 せやねんが立ちあがり、紙とボールペンを持ってきて、なにやら描きはじめた。
「こういうちゃう?」

  ∽∵∧―∧

「そ、そうです! こんな感じです!」
「あー、理科標本さんだー。」
「ほんとです、理科標本です。」
 ペンネとヌグも紙を見てすぐに反応した。
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これまでもたびたび登場した、空白行を埋める記号、「∽∵∧―∧」の正体がついに判明しました。

理科標本

じつは登場人物だったんですね。

このキャラは偶然から生まれました。
小説では場面転換をする際、よく空白行が使われます。
ポンと一行だけ空白を置くこともあるし、そのなかに記号を入れることもあります。
当初、この作品では空白行にはなにも記号を入れる予定はありませんでした。
しかし原稿を読んだ担当さんから、「なにか記号を入れませんか?」と提案がありました。
たしかに、ただの空白行だと、ページ末やページ頭に置かれた場合、空白行があることに気づかない場合があるんですよね。
読者から見ると、なんの前触れもなく場面転換したように感じられます。
なので、空白行のなかに「*」や「◆」などの記号を入れて、「ここに空白行ありますよ」と伝えるわけです。

担当さんからのご意見を受け、なかに入れる記号を考えました。
タイトルにもある「∧」を三つならべて、「∧ ∧ ∧」にしようかなと考えたのですが、どうも物足りない気がして、縦書き表示にした上でその記号にいろいろなものをつけ加えていくうちに、だんだん人の体に見えてきました。
それが「∽∵∧―∧」となり、上記画像になるわけです。

それならいっそ、これを登場人物にしてしまえということになりました。
担当さんからいわれたつぎの日にメールでこのことをお伝えし、登場人物が一人増えたというわけです。

第6回の解説は以上です。

第7回の解説はこちら。
書いてる人

藍上 陸(らんじょうりく)

藍上 陸(らんじょうりく)
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小説書いてます。

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