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経過明示法(ステープリング・テクニクス)

【 経過明示法 】

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 ようやく洗濯機にとりつくと、身をのばして洗濯機の一時停止をおした。
「きゅう~~~~~~……」
 洗濯槽が止まったあとも、ペンネは目をぐるぐるとまわしつづけ、ボウフラのようにふらふらになっていた。
「しっかりしてくださいペンネさんっ! 生きてますか!」
「ありえない! ここの住人ありえない!」
「高橋! でていくです!」
 ペンネを介抱しようとするヌグにキッと睨まれ、高橋は「ありえな~い!」と首をふりながら、駈け足で逃げだした。
 ガチッとドアをおしあけた。
             ∽∵∧―∧
 かちゃ、とドアが開かれた。
「ペンネさん、大丈夫ですか?」
 脱衣室からヌグがでてきた。熊からネズミの姿に変身していた。それは着ぐるみというより、ワンピース型をした子供用の寝間着で、ネズミの耳のついたフードがついている。
「ゆ~ん……まだくるくるしてる……」
 ソファで横になっているペンネが力なく応えた。こちらはいつもの横縞(ボーダー)柄のバスクシャツにショートパンツ姿である。
 高橋は、部屋の隅で体育坐りをして小さくなっていた。うつむいた顔に暗い影を落とし、「ありえない……ありえない……」とぶつぶつくり返している。

※「アキハバラ∧デンパトウ」より引用
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時間の経過を明示することにより、物語の演出をするのが「経過明示法」である。
ほかのステープリング・テクニクスでは、動きの連続性や類似性によってシーンをつなげ、その場合は「動き」が主役になるが、この経過明示法では「時間」が主役となる。

上記引用では、「ガチッとドアを押しあけた。 (空白行) かちゃ、とドアが開かれた。」という形でシーンがわかれる。この部分だけを見ると、「二度のドアの開閉を編集でつなげたマッチカット的つなぎ」のように見える。
しかし実際は、「ガチッとドアを押しあけた」という主体的な表現から、つぎの「かちゃ、とドアが開かれた」という受動態に移行することで、Aシーンから時間が経過してBシーンがはじまっていることを示している。

「ガチッと」/「かちゃ、と」というオノマトペの使い分けも、「時間が流れた結果、混乱した事態が落ち着いた」ということを示すのに役立っている。

このように「時間の経過」を示すためには、場所を一カ所に固定したほうがやりやすい。
AシーンからBシーンに移行するときに場所がちがってしまうと、「場所が移動したこと」に読者の興味が移ってしまい、シーンの連続性が途絶えてしまう。
上記の引用文では、一つのドアに限定したことにより、時間の流れを伝えようとしているが、もっとわかりやすい例を挙げると、たとえば「花」を使ったやり方がある。
下記の例文では、とてもありがちではあるが、桜を中心として「時間の経過」を示すことでシーン同士をステープリングしている。

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Aシーン
まだ肌寒さは残るが、学校にある桜並木の枝木には、明るいつぼみが開こうとしていた。

(空白行)

Bシーン
桜色の破片が舞い散る道を、アイロンのきっちりかかった制服たちが通りすぎていく。
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書いてる人

藍上 陸(らんじょうりく)

藍上 陸(らんじょうりく)
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小説書いてます。

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