デレマスの新OPとピン送り

待望のデレマス15話で、おもしろかったところをいくつか。

高雄監督が絵コンテを手がけた新OPが流れましたが、期待通りのできでしたね。
でだしからびっくらこきました。

アイドルマスター シンデレラガールズ15 OP①
アイドルマスター シンデレラガールズ15 OP②

自分のおっぱいのサイズにおどろく卯月

「生まれた~ての~勇気を~、抱~きしめて~♪」と明るく歌っているのに、映像ではなにも抱きしめていないという。
この「からっぽの手」がなにを意味するのか、現時点でもあるていど想像できますが、これから話が進展するにつれてはっきりしてくると思います。

そのあと「走りだそう~♪」とサビが一番盛りあがるところでも、キャラたちはぜんぜん走りだしておらず、むしろ茫然としたように「お城」を見あげているだけです。

アイドルマスター シンデレラガールズ15 OP③


そのあとOPの中盤でまた不安なカットが。

アイドルマスター シンデレラガールズ15 OP④


背後の時計の長針が、途中でつきささるように止まってます。
この長針は、1話進むごとに12時に向けて進んでいくしかけでしょうから……こりゃラストちょっと手前の話数で波瀾が起きそうですね。

一期のOPでは、歌詞と映像は素直にリンクしていました。
明るい歌詞に合わせて、少女たちが階段をのぼってシンデレラ(アイドル)になるさまが描かれていました。
しかし二期のOPは、あえて歌詞と映像にずれをつけることにより、これからの波瀾の展開を暗示しています。
なんとなく、このOPはまだ「変身」を残していそうなにおいがしますが、どうでしょう。


OPのほかにおもしろかった部分として、「ピン送り(フォーカス送り)」の工夫があります。

アイドルマスター シンデレラガールズ15 ①
アイドルマスター シンデレラガールズ15 ②
アイドルマスター シンデレラガールズ15 ③
アイドルマスター シンデレラガールズ15 ④


画面左側の卯月たちの前を、ポスターらしきものを抱えたスーツの女性が走り抜けていきます。
その女性の動きに合わせて、カメラのピントが、右奥に坐っている二人のアイドルへと送られます。
当然、左側の卯月たち三人の姿はボケることになります。

そしてカットが切り替わると、ピントを送られた奥の二人の姿が映されます。

アイドルマスター シンデレラガールズ15 ⑤


ピン送りは、実写でもアニメでもよく使われるポピュラーな技法ですが、いきなりこれを使うと、いかにも「ハイ注目!」という感じがして、わざとらしくなってしまうんですよね。
たとえば黒澤明監督は「カメラは演技するな。役者が演技したのを映せ」という信条だったので、こういうピン送りはあまりおこなっておりません。
画面全体にフォーカスが合っている「パンフォーカス」の画面を多用しました。(しかもパンフォーカスしづらい望遠レンズを使って)

このデレマス15話では、そのピン送りの不自然さを軽減するために、まず左から右へ女性を走らせることによって、自然と視聴者の視線をそちらへ移すように工夫しています。
それに合わせてピン送りをしているので、かなり自然に見えるわけです。
演出のワザマエですね。

しかし、どうしてここで「ピン送り」が使われたのでしょうか?
ふつうにカットを切り替えて、ほかのアイドルたちを映したのではいけなかったのでしょうか?

ピン送りである必要があるのです。
これがおこなわれる前までは、カメラは卯月たちシンデレラプロジェクトのアイドルを追っていました。
しかしこのピン送り以降は、346プロのほかのアイドルたちの姿もよく映るようになります。

アイドルマスター シンデレラガールズ15 ⑥
アイドルマスター シンデレラガールズ15 ⑦


つまり、「後景化」されていたほかのアイドルたちが、このピン送りをきっかけに「前景化」してくるわけですね。
「ピントを送る」という行為により、ほかのアイドルたちにもスポットを当てたわけです。
今回の美城常務による「アイドルプロジェクト凍結事件」は、シンデレラプロジェクトのみならず、ほかのアイドルたちにも重大な影響がでていることを示しているわけです。

この15話は、絵コンテを「益山亮司」さん、演出処理を「黒木美幸」さんがされています。
監督から指示があったのか、演出のほうから監督に合わせたのかはわかりませんが、こういう演出は高雄監督好みといえるのではないでしょうか。

最後に、15話のラストでシンデレラプロジェクトのみんなが頭巾をかぶって部屋の掃除をしていますが、これはきっと虐げられているシンデレラをあらわしているのでしょうね。
チャージマン研のシンデレラ回でも、女の子が継母にいじめられながら部屋の掃除してたし。